10月15日に東京体育館に新極真会の『第13回世界大会』を観戦しに行ってきました。
結果は、男女とも日本人が優勝できて非常に安堵の思いになったのでした。
1年半前の世界ウェイト制で、男女とも本命の選手が途中敗退をしてしまい、今大会の王座が危ぶまれていたのでしたが、杞憂に終わってくれました。
入来建武選手が制した決勝戦は以下をご覧くださいませ。
↓
男子は、ベスト8に5人が入賞することができたのでした。
前回は4人でしたから、ランクアップしたといっていいでしょう。
5回戦が終わった時点で、その5人が準々決勝に進出したので、この先も大丈夫だろうと判断しました。 しかし、その安堵から一転、次々に日本人選手が敗れて、ベスト4に入ったのは入来建武選手のみという事態になってしまいました。
日本人選手が、海外の強豪選手を降して勝ちあがった。
ゆえに、この人はこの先も期待大…そんな単純ではないです。
強豪選手を降してきたからこそ、ダメージを多くもらい万全の体調で臨んだのではなかったのです。
海外の最有力選手であったエヴェンタス.グザウスカス選手を4回戦で降した岡田侑己選手は、その後も勝ち上がりベスト8入りを果たすも、続く準々決勝でベテラの兵ヴァレリー.ディミトロフ選手に下段蹴りの技ありを取られて敗退。
順調に5回戦を制して勝ち上がってきた渡辺優作選手は、伏兵アントン.ジマレフの執拗なボディ打ちでスタミナを奪われて延長で敗退。
2大海外有力候補の1人であったマシエ.マズールを破り、勢いに乗ってベスト8入りした高校生の遠田竜司選手は、ベテランで長身(193センチ)のエドガー.セシンスキーに内回し蹴りの技ありを奪われて敗退。
そして、落合光星選手との日本人対決を制して入来選手が準決勝に進出。
このような事態になったのは、16年前の『第9回世界大会』以来になります。
この時に、勝ち上がったのは塚越孝之選手でした。
塚越孝之
塚越孝之選手は、この前年に行われた全日本大会で決勝を競った塚本徳臣選手のみが勝ち上がるが、その塚本選手が準々決勝で敗れ、残る日本人選手は自分だけという中で、プレッシャーをはねのけて優勝してくれました。
入来選手はベスト4に残るのは自分だけというシチュエーションと同じになりました。
そこで私は不安になったのです。
入来選手の得意技は下段蹴り。
強烈な技は諸刃の剣…強烈ゆえに自分の足も大きなダメージを負ってしまう。
相手の突起部分にあたってしまったら、さらにそうなってしまうのです。
現に、前回の世界大会の前哨戦だった全日本大会では、そのダメージゆえに一本負けで、次の年の世界大会では回復がままならず、中途敗退。
しかし、その次の年の全日本大会では復活して優勝し、その次の年の全日本大会でも優勝するも、次の年の世界ウェイト制で、古傷が出て準決勝では右の蹴りが出せずに、あえなく敗退ということをしてきたのです。
そういう古傷が、この大会でも古傷の再発が出ないか心配だったのです。
4回戦も危なげなく勝ち上がりましたが、右足の回し蹴りの技はほとんど出さずに、右は膝蹴りばかりという状態でした。
勝ちあがっても移動するときに俊敏さがないので、足に怪我が若干出てしまっているのではないか、と思ったのです。
しかし、準決勝のエドガー選手との対戦からは右でも果敢に蹴りを出していたので杞憂が一気に吹っ飛びました。
入来 VS エドガー
相手もかなりダメージを負っていたのでしょう。
得意の上段やひざ蹴り技が出せないのみならず、いい技をもらっても反撃できなかったのですから。
それとあまりに入来選手の蹴りが見た目以上に強烈だったのも一因でしょうね。
その時の試合が以下です。
この試合を見る限り、下段を中心に攻撃していたがゆえに、下段だけで勝てるんだ、という錯覚をおこしてしまい勝ちですが、事はそう簡単ではないです。
あまりに体重差のある対戦ゆえに、エドガー選手が踏み込めなかったということもあるでしょうし、下段蹴りがかなり強烈ということでもあったでしょう。
エドガー選手は、それまでに吉澤穂高、遠田竜司という2人の日本人選手を降してのベスト4入りをしましたが、2人の日本人は、エドガー選手の上段に来る膝蹴りを警戒して間合いを詰めるも、今度は中段への膝蹴りを喰らい、接近戦での鉤打ちでも効かされて、掴みの注意をもらいました。
長身からの膝蹴りは見た目以上に効くのですね。 それで失速してしまったのです。
それを、何回か繰り返すうちに吉澤穂高選手は減点1で敗退。 遠田竜司選手は、間合いを取ったところで上段内回し蹴りで技ありを取られて敗退という憂き目を見たのです。
こういう長身で上段の切れる相手に対しては、警戒しての間合い詰めや、横ずれだけでは不充分なのです。
相手が、自分の上段を警戒してるなということを悟ったら、相手の思うツボなのです。
上段に見せかけての中段蹴りを入れられたり、相手が詰めてきたら強烈な鉤突きを入れたりで、全然自分のペースに持ち込めないで終わってしまうのです。
しかも、相手の上段蹴りに警戒ばかりしていると、自分が上段蹴りを蹴ることに意識が向かないからますます相手の思うつぼなのです。
今回の世界大会でゲスト出演して、歌を披露してくれた長渕剛さんの曲に「ろくなもんじゃねえ」というのがありますが、そういう状態こそ、まさにろくなもんじゃねえ、なのです(笑)。
長渕剛
そうならないようにするためには、自分に、相手が警戒するような速く強い上段蹴りを放つ必要があるのです。
そうなれば、今度は相手が自分の思うつぼなのです。
かかと落とし、上段回し蹴り、内回し、外回し、後ろ回し蹴りといった技をいつでも放てるようになれば、過度に警戒することなく、また、相手の上段蹴りに翻弄されずに自分の組手ができるようになるのです。
エドガー選手の上段蹴りに翻弄されて自分の組手ができないまま敗れてしまった日本人選手は、トレーニング時に自身でそのことに気づくことがまず大事でしょう。
下段とパンチだけでは、なかなか突破口が開けないけれども、上段を放つことによって流れを作ることができるのです。
そのことを発見する必要があるのです。
勿論、その際に惰性で蹴っては駄目です。
相手がはっと目が覚めるような強烈で速い蹴りを放たないことには。
それを自身で見つけた後には、目が覚めてその日から上段蹴りを毎日、何十、何百と蹴りこむようになり、稽古の虫になれたらしめたものです。
その人は大いに勝ち上がることができるようになるでしょうし、エドガー選手のような長身の選手にも翻弄されることのない組手ができるようになるでしょう。
また、勘が働かなくて、そのことに気づけなかったとしたら先輩、同輩はすぐさま諭せるようでなければならないでしょう。
その諭しができないようであるならば、先輩、同輩として稽古不足や研究不足でしょう(笑)。
入来選手は、エドガー選手と対戦した際に、上段蹴りを出すことなく勝てましたが、それはあまりに体重差があり、あまりに強烈な下段だったゆえに可能だったのです。
そんな体重の差がない、あるいは威力があまりない人が、彼のように下段に固執しても、エドガー選手に警戒心が働かず、敢然と上段蹴りを出してきたことは容易に想像できます。
あまりに体重差がない場合に、下段蹴りだけに固執しても相手は敢然と来てしまうということは理解してほしいものです。
吉澤、遠田両選手やその他有望な選手は新極真会には大勢いますから、そのことは次回の世界大会までに杞憂で終わらせてくれることに期待をしているのです私は。
マシエを破る遠田選手
しかし、今回準優勝したヴァレリー.ディミトロフ(ブルガリア)には頭が下がる思いです。
パンフレットには、41歳と記載されていますが、それはプロフィールを提出するときの年齢がそうだったのであって実際は42歳なのです。
この年齢で世界大会で決勝に進出するとは…と感涙モノです。
この年齢で決勝進出したのは史上初でしょう。
彼が、12年前の世界大会に出場した時に、「彼が優勝するのはこの大会が最後だろう。」と思いながらも、それがかなわなかった。
しかし、その可能性はあったのですが、伏兵に足をすくわれてしまった結果、そのチャンスを逃してしまったのです。
その後、彼がどのようになるのかは皆目見当がつかない、ということで彼に対する記事を以下のページに書いたのでした。
興味ある方は読んでくださいませ!
↓
そんなヴァレリー選手には頭が下がる思いでいっぱいです。
彼と入来建武との決勝戦は以下です。
この年齢で、ここまでやってこれたのは、ひとえに空手に人生を一本に絞ってきたからでしょう。
その他、入賞した選手たちは、どれも指導員や道場職員であるのがわかります。
ヴァレリー VS 入来
自分の生活を賭けて、空手一本に生活を絞らないことには不可能な時代に突入したと思った次第です。
32年前に緑健児代表が優勝した『第5回世界大会』においては、サラリーマンをしながら、その大会に出てベスト8に入ることができた日本人選手がいましたが、今はそれはかなり難しいのではないでしょうか?
そんなことを考えてしまいました。
しかし、今回の台風の目は間違いなくリトアニアでした。
下馬評の高かったエヴェンタス.グザウスカス選手は4回戦で敗退してしまいましたが、代わりにエドガー選手が3位に入賞しました。
その他、後先の怖い選手が多くいたのは事実でした。
日本対リトアニア…そんなニュアンスでおこなわれた大会でありました。
今回大会のポスターやパンフの表紙にそんな趣気がありありと感じれたでしょう。
しかし、リトアニアは95年の極真分裂の際の当初は松井派を支持して、この国からも代表選手を2名出したのでした。
しかし、95年の松井派の世界大会の後の96年1月に開催された新極真会の母体であった極真会館大山派の世界大会においても、その2名のリトアニアの選手が出場したのでした。
タシンスカス.トーマスとクラパタツスカス.ポーリウスの2名ですね。
今は松井派の支部長をしているけれども、当時は大山派の選手だった池田祥規氏は、このタシンスカス.トーマスと対戦し、相手の長身ゆえに突破口が見いだせず、あえなく敗退という憂き目を見ているのです。
この大会以降も、リトアニアは大山派ひいてはのちの新極真会に正式に移籍してこんにちに至るのです。
なぜ、当初は松井派を支持しながらも、あとになって新極真会に移籍したのか疑問に思うところですが、私が思うに、松井章圭氏があまりに日本人贔屓の組み合わせにしたからだろうと想像するのです。
松井章圭
日本人選手が全員2回戦から出場というのでは、非常にあからさますぎだろうと誰もが思っただろうと思いますが、口にする人は皆無だった。
戦う回数が減れば当然有利になるのは決まっています。
但し、フランシスコ.フィリォやニコラス.ぺタスといった強豪選手や、全ヨーロッパ大会の優勝者やその他上位入賞者、アフリカやロシアの大会の優勝者やその他上位入賞者といった人たちも全員2回戦から出場ということも鑑みれば、批判する必要はないともいえるけれども、その評価は人によって違ってくるでしょう。
そのことを当時の松井氏に指摘したら「私の意に反して分裂してしまったから仕方ない!その分裂の主導者は大山派の支部長たちだ。」というようなことを言ったかもしれないけれどもどうなのでしょうか?
あの時、日本人贔屓のトーナメントの組み合わせにしなければ、リトアニアは松井派を支持し、リトアニアの選手はずっと松井派に選手を送り込んで、新極真会の中では強豪選手が少なくなり日本の王座の脅威を低減していた、ということにもなったかも知れない…そんなことを考えてしまったのでした。
次は、11月に行われる松井派の世界大会…と言いたいところですが、私はこの大会に関しては全く関心がなく、日本人が優勝しようが、外国人が優勝しようが関係ない、と思っているのです。
7年前におこなわれた大幅なルール改定によって、上段蹴りが掠っただけでもそこで残心を取れば技あり、相手を足払いで転ばせてそこで残心を取れば技あり、その他、効いていなくても相手が倒れた時にすぐさま残心を取れば技あり、というおよそ格闘技とは思えないルールに変身してしまったがゆえに、試合を観ていても非常につまらないのです。
松井派の世界大会の選手団の合宿において、上段蹴りを放ったらすぐさま残心を取るトレーニング風景をみたら「あ~あほくさっ!」と思ってしまうのですね(笑)。
私のブログにも、そのことに賛同して、その意思を書いてくれた松井派の人がいて、その人に「そのようにお考えならば、新極真会に移籍することをお勧めします!」と私は、進言したのです。
あのルールの試合に出続けるのならば、あのルールに賛同しているのも一緒だからです。
その他、松井氏自身、私は人間的にもどうしても支持できない人間だからです。
そんな人間が長の団体にはおよそ興味がないのです。
どのように気に入らないかは、リトアニアの件も含めて、以下のページに書いたので読んでほしいものです。
↓
今回はこれにて終了します。
ここまでの御精読ありがとうございました。
※Myproteinでは定期的に割引セールをしているので、覗いてみることをお勧めします。
3割引きや多いときは半額セールや88%オフの時も!
↓
【Myprotein】
※参考ページ
→サプリ摂取のタイミング表
→格闘家やアスリートの1日に必須の栄養素の量
運営者情報 |
木内高夫(極真空手黒帯取得) |
運営サイト | http://blog.livedoor.jp/hammerdc/ http://karatemen.grupo.jp/indexメルマガ 『フルコンタクト空手で必ず強くなる方法』※タイムリーで読めるので、スマホでの登録をお勧めします! |
問い合わせ E-Mail → karate-bombay@infoseek.jp
・ホーム