こんにちは。
前回は、新極真会の塚本選手とヴァレリー選手について、彼らの強さの秘密について、修練をただ重ねていくことだけでなく、心の浄化をしていくことで強くなったというエピソードを話しました。
やはり単に強さだけの追求だけでは、真の強さを得ることはできない、ということですね。
そういう面に目と心を向けていくことが、やはり大事ということです。
今回は、神になる話をしていきましょう。
はあ?という感じでしょうが、納得できると思いますので読んでくださいませ(笑)。
試合のビデオを見ると、
「この時はこの技を出すべきだ!」
「この時、この技はいけない!」
「攻撃に夢中になるあまりガードがおろそかだ!」
「押しのような突きになってだめだ!」
「攻撃しないで見ていてはだめだ!」
というような場面はよくあるものです。
ことは一般人の試合であれ、全日本大会や世界大会であれ。
例えば、自分より身長のかなりまさる相手に対して膝蹴りを出すと、相手にとっては隙を与えてしまう結果になり、勝ちにつなげることはできません。
しかし、それは、戦っている本人は興奮していてわかりません。
しかし、自分より身長でまさる相手にどんどん膝蹴りを出して、相手は効かず、逆にどんどん相手の技が決まり自分は失速、そして判定負け、なんていうパターンは往々にしてあります。
また、自分より長身の人間に対して下段蹴りを出すに際しては、前足への蹴り、しかも内股のを出すほうが有効です。
それのほうが相手の出鼻をくじくのに有効です。
まずは、相手の動きを止めなくては長身の選手は、厄介だからです。
また、下段蹴りに得意意識をもって試合に臨んで、あまりに相手を倒そうとする意識が強いために、ガードがおろそかになってしまう場面は誰にでもあります。
下段の連続攻撃で有利になるも、相手が起死回生の上段蹴りを放ち、ガードがおろそかになってしまっていたがため、それを食らい一本負け、なんていうこともあります。
スタミナの不足のためか、自分の体重が重いこともあって、それでもスパーリングでは相手が退いていたがために、慢心してしまっていて、押すような突きが試合中にも出て、自分よりも体重で勝る相手と対戦して、自分の攻撃が決定打にならず、あわや判定負け、なんていうことも往々にしてあります。
また、延長2回の後半部分で、体重で10キロ以上重いにもかかわらず、相手の出方をうかがい、その時間が2秒から3秒も続くと、攻めあぐねているように見えてしまうのです。
その2秒から3秒の間に技を出せていれば、試合の流れは変わっていた可能性があるのです。
しかし、決定打が打てず引き分け、そして体重判定負け、というパターンもあるのです。
これら、
「自分よりも身長で勝る相手に膝蹴りは出さない」
「長身の相手に下段を出す場合は、奥足でなく前足の内股」
「下段蹴りが有効に決まっていてもガードをおろそかにしない」
「押すような突き蹴りはどんな場面でも出さない」
「見合う時間はいらない」
といったことは試合に臨む前の、稽古において、たっぷりと稽古に時間をかけていれば、わかるようになることです。
しかし、いざ試合になると完璧にはなれない。
それでは、どうすればいいかというと、セコンドについてもらい指示をしてもらうのですね。
そうすることで、より効果的に試合を運ぶことができるのです。
完璧に試合用の稽古をしたつもりでもやはり試合になると、そうはできない。
長身の相手に膝蹴りを出そうとしても、それしか技がないとつい出してしまうのです。
ですから、違う技磨きを稽古中にしていなくてはならないのです。
セコンドから「膝蹴りだすな!」と言われたら咄嗟に違う技に切り替えなくてはなりません。
長身の相手と対戦して、「内股蹴れ!」と指示が出たらすぐさまその技に切り替えないとダメなのですが、奥外足しか蹴る練習しかしていないとすぐに出せないのです。
また、下段が有効に決まり続けて前に出ると、ついついガードがおろそかになりますが、セコンドの「ガードしろ!」という指示が出てすぐにガードをしながら前に出て攻撃をしないといけないのです。
ガードをしながら攻撃をするのもやはり稽古中に矯正しないといけないのは明白です。
また、押すような突きを出すと、相手が前に出てくる隙を与えてしまいます。
ですから、スタミナ稽古の際に押すような突き蹴りをだす癖を矯正しなくてはいけないのです。
また延長時において、見合う時間が2秒から3秒になると、セコンドから「見てんなっ!」と怒声が飛びますが、それでもすぐに攻撃をするようになるためには、日ごろからスタミナ稽古を余念なくこなしておかないといけませんね。
試合に出ている本人は興奮のあまり、わからないのですね。
それを客観的に見て妥当な行動をしていくためには、セコンド陣は必要不可欠ですね。
セコンドが見ている自分の試合の姿が、まさに「鏡」になるわけですね。
その指示に、「我」を捨てて忠実に従う。
そのことで、「神」になるわけです。
「はあ?」と思われるようですが、その通りではないですか?
「かがみ」があって、その指示通りに動く=「が」をとる。
「かがみ」-「が」=「かみ」
それで「神」になるのです(笑)。
語呂合わせの遊びのようですが、実際そうでしょう?
この場面では、こうしたほうがいい。
ああいう場面ではこうしたほうがいい。
というときに、すぐさまそういう技が出て、防御ができる。
本戦だろうが延長だろうが変わらぬ試合をする。
そういう神のような試合をするような選手はよくいるものです。
そういう人は、いつも自分の欠点を謙虚に見ていて、それを矯正すべく稽古に励み、みんなでする合同稽古が終わっても、黙々と自主練に励むのです。
そのことで自信が持てて、謙虚になり、余計な自我を捨てられて、しかも、いろんな技を本戦であろうが延長であろうが、ピシッとした軌道と威力で出せるのです。
しかし、そういうことを怠ってきた人は、謙虚さがなく、自分の少ない技だけにこだわり、延長になると、勢いの劣った技しか出せなくなるのです。
これではどんな優秀なセコンドがいても、神のような試合からは程遠くなるのです。
そうならないためには、神のような試合をするためには、やはり古い話が稽古をとことんまでやりこむことしかないでしょう。
そして自主トレにもとことんまで精を出す。
その好例として、やはり極真会館松井派で活躍した数見肇氏を挙げれるでしょう。
数見肇氏は、極真会館松井派の全日本大会で3度優勝し、世界大会でも2回準優勝しています。
本人の試合を見るとやはり、「神」のような試合をしている。
こういう時にこういう技を、ああいうときはああいう技を、と見ている人が思う技が、咄嗟に出るのですね。
しかも、本戦であろうが、延長であろうが、動きや技が衰えることなく、しかも防御も完璧にできている。
これはやはり稽古の賜物でしょう。
強豪が集まっていた城南支部の朝稽古で5時間のトレーニングをした後でも、1時間の自主トレをするというから驚き以外何物でもないです。
同じ極真会館松井派の第8回世界大会で優勝した木山仁選手もやはり、「神」のような試合ができていますね。
木山仁
極真会館松井派の2001年の『第2回世界ウェイト制大会』のDVDを観ていますが、数見木山両者が出場していますが、2人とも神のような試合で、見惚れてしまいますね。
ただし、人間のすることですので、必ずしも100点満点ではないことはお断りします。
100点満点の試合など、この世に存在しないでしょう。
その、セコンドに鏡になってもらう際に、やはり大事なことは、「この人に勝ってもらいたい!」と思われるような人格に自分がなってないとダメなのは言うまでもないです。
普段から、横柄で傲慢な態度で人に接していては、試合の時に的確なアドバイスをしてもらうことはできません。
そういう人には、アドバイスすらしてあげようとは思わないでしょう。
普段から謙虚に、礼儀正しくしている人にこそ、適格で妥当なアドバイスをしてあげようと思うのです。
また、自主トレでも手伝ってもらったらジュースを奢るなどの行為も欠かせません。
その回数が重ねれば当然食事や酒もおごるくらいでないといけないのです。
本当に強くなるためには、こういう部分にも目を向けて、日々行動していかなくてはならないのは言うまでもありません。
今回はこれで終了します。
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この本の著者である矢野暢氏は、大学で政治学を専攻した私にはやはり必読の政治学者の1人でした。
その書く論文から醸し出される壮大な世界観には、読んでいるとついつい引き込まれていった経験が忘れられなかったです。
この『フローの文明 ストックの文明』は国際政治学者らしく、海外に多く赴いていった人らしく海外の文明を多く垣間見ることによって日本のそれとの差異が浮き彫りになり、日本の文明の特長が明確になったのだろうと思います。
その文明の詳細は、この本を読むごとになるほどとうなずかざるを得なかったですね。
まずストックの文明は、壮麗な神殿、宮殿、石造りの都市、墓陵、石像など観光産業に使われている文明ですね。
例えばパガンの石造り、レンガ造りの都市は乾燥した生態環境や、中国の紫禁城、パリやローマの都市などですね。
こういったものは、支配者の執念で作られたのでした。
死後の世界においても権力的に君臨する意思がもとになっているのです。
そこでは貴族制度が生まれ、さまざまな芸術が貴族制度と結びついて発達しました。
そこでは軍事力、警察権力を必要としました。
この世で生まれたあらゆる政治思想、社会思想が、こういったストックの文明で生まれたというのです。
ストックの文明の場で生じる人間疎外や社会的不条理の類型を踏まえてつづられたのです。
例えば、マルクス主義理論、ノーメンクラトゥーラ、階級対立などですね。
そこから中準化の思想が生まれたのです。
そして、今の世界の標準はフローの文明になっているのです。
そのフローの文明は、人流、物流、金融流、情報流が活発になった文明のことです。
まさに今の世界的潮流を見ると納得できるでしょう。
こういう概念を生み出したのは矢野暢氏なのかどうかはわかりかねますが、そうであろうとなかろうとこの本は非常に説得的ですね。
こういう、自分の専門だけに意識を特化したのではなく、専門を超えていろんな事象を含みこんだ著者の壮大な気宇を持って綴られた文明論は読んでいて、心ふくよかな気分になっていってしまいますね。
1日に100ページ以上も読んでしまうのですね。
こういう人こそが、まさに本物の知識人だなあという気がします。
ストックの文明においては、支配者と被支配者の距離がものすごく大きいですが、日本においてはその距離がものすごく近いのです。
フローの文明では、内需が最高度に保障される仕組みになっている、というのです。
国内流通機構が精緻に作り上げられるというのです。
商品生産工程にユーザーの意向を配慮しているのが日本である、あるいは海外の品が日本にはいったら欠陥を補い、庶民的価値を投入してまるで違うものにつくかえられてしまうのが日本であるとも書いていますが、それは何も日本だけではないでしょう?と思いましたがそれはここでは不問にしておきましょう。
フローの文明において一番の活力源は、人々の勤労意欲です。
商品需要、未来型商品に対する鋭敏な感覚、あらゆる情報感覚が必要です。
ストックの文明とフローの文明、両方とも自然生態環境への生態的適応の結果生まれた、ということは間違いないでしょう。
ストックの文明、フローの文明どちらが正しいかという問題ではないのは間違いないでしょう。
日本は、四季それぞれ豊かな自然にあふれ、貯蔵、保存というストックの文明が必然ではなかったのですね。
こういうことを鑑みれば、日米 vs 欧米という図式で比較文化論において、日米とくに日本が明治維新から数十年で産業化工業化を達成してしまったことも明らかでしょう。
ストックの文明のような永遠性に聳え立つハードウェアに乏しいのは間違いありません。
ストックの文明においては、支配者と被支配者との距離が非常に遠いがために、それ故に後世に残る文化があったのです。
その例として、金閣寺などは最たるものですが、そういう後世に聳え立つ文化をうみだすことは、今のフローの文明には不可能です。
ストックの文明においては、権威主義、階梯化が基本になっているがために、窒息するほど窮屈なのです。
映画『タイタニック』において、ケイトウィンスレット演じるローズ・デウィット・ブケイターが上流階級の生活は、死ぬほど退屈と言わせていたことを思い出します。
かといってどちらが正しいということではないのです。
ストック、フロー両方の文明を明らかにすることによってこれからの人間社会の創造に役立つと思います。
また、こういう本を読むことで、文明を学ぶことによって日本の文明の内奥を知ることができたように思います。
それによって外国人との会話で日本を語る際に、非常に参考になり、納得させることができるのではないかと思えて仕方なかったです。
こういう壮大な気宇を踏まえて、視点を交えた本として堺屋太一氏の『日本とは何か』という本をお勧めできます。
この本も併読するとさらに理解が深まるでしょう。
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