みなさん、こんにちは。
最近の朝は肌寒くなり、本格的な冬の到来を体感する毎日になっていますね。
こういった冬の朝の空気の清涼感は夏や秋には味わえないものです。
ものごとには一長一短があります。
こと空手にも同じことが言えます。
完璧と思われていたものが、実は落とし穴があったりします。
そのことを今回は話していきたいと思います。
前回は、87年に極真の世界大会が行われ、城西支部に出稽古を頻繁にきていた総本部出身の松井章圭氏(現極真会館松井派館長)が辛くも決勝でアンディフグに勝利し、日本の王座を死守したことを話しました。
この世界大会の3年前には、城西支部の黒澤浩樹が全日本大会で初出場で優勝し、その次の年の全日本大会において惜しくも松井章圭氏に敗れたものの準優勝し、同じ城西出身の増田章選手も3位に入り、当時この松井、黒澤、増田を総称して「3強」といったものです。
黒澤浩樹 増田章
3強のうち2者が城西出身で、松井氏も城西支部に出稽古していたとなれば、誰もが城西支部のトレーニング方法に注目がいき、誰もが真似ようとするのは当然の成り行きであるとおもいます。
雑誌などでも、城西支部出身の黒澤、増田の2人を引き合いにだして、 「黒澤のテクニック」あるいは「増田のテクニック」などといって彼らのテクニックを図解で説明したりする。
こういったことは、事実、他の人に参考になることは間違いないでしょう。
●しかし、そこに落とし穴があるのではないでしょうか。
例えば、黒澤選手が試合で見せた有効なコンビネーションを図解で説明する。
それをみた人が、それをスパーリングで試してもおそらく上手くいくかどうかは、保証の限りではありません。
例えば、黒澤選手の、「中段回し蹴りからワンツー、下突き、右下段蹴り」というコンビネーションが図解で紹介されていたとしましょう。
それをスパーリングで試して上手くいくかどうかは、まず、最初の中段蹴りが命中しなくてはいけませんが、この蹴りが受けられたり、カウンターをあわされたりしてはこのコンビネーションは無効です。
たとえ、始めの中段が入っても、次のワンツーや下突きが受けられては無効です。
また最後の下段もしかりです。
今や空手においてテクニックは不可欠である。
だから、基本稽古以外にも、こういったコンビネーションを体に染み込ませなくてはいけない。
こういう考えがあって城西支部では、初心者や中級者が参加する「一般クラス」においてもこういったコンビネーションのモーションの練習やミットを相手に持たせての打ちこみの練習をしているのです。
しかし、こういった思想がない地方支部においては、こういったことがなされてないのです。
確かに、コンビネーションの練習をするのは結構なことでしょう。
必要不可欠なことに違いはありません。
●しかし、そこに「攻撃力」が伴わなければ無駄な努力になりかねません。
表面だけ、モーションだけの練習は、単なるエアロビクスになりかねません。
先に説明した有力選手の試合で上手くいったコンビネーションの図解にしても、何故上手くいったかは、その選手の長きにわたって培ってきた体力と練習内容に関係しているのです。
例えば、先の黒澤選手は、下段蹴りが大の得意技でしたが、彼の現役時代は「スクワットで340キロを4回」挙げる脚力を長年にわたり培い、毎日300本もの蹴りをサンドバックに蹴り込んできた、という背景があったからこそ、あそこまでの伝説を残す事が出来たのです。
毎日の稽古で6時間は当たり前だったといいます。
そういったことに言及せず、表面のテクニックだけを雑誌で取り上げて読み手の関心を喚起しても、空手の修錬には全く役に立たないと思うのですが、あなたはどう思うでしょうか?
こういった現代の空手界の弊について私は警鐘を鳴らしたいのです。
では、今回はこれにて終了いたします。
次回は、この続きをしていきたいと思います。
●今回登場した黒澤選手についても詳説しています。
ご関心のある方は買って読んでみてくださいませ!
↓
http://karate-rush.info/index.html
ここまでの精読に感謝いたします。
失礼いたします。