八巻建志
最近、極真会館(松井派) の第6回世界大会の優勝者である八巻建志氏が、再び松井派に戻り、道場職員になるということが告げられて、記者会見を開きました。
八巻氏は、これまで、松井派から脱退して、アメリカに渡り、「八巻空手」なる道場を開いていました。
松井氏の言葉によると、「これまで八巻氏とは何度か会って、食事を交わしていた。その際も元の極真に戻ろうという話は一切してこなかった。
今回このような話しになった。」ということです。
しかしなぜ「八巻空手」は閉鎖してしまったのか? という素朴な疑問がわきます。
やはり、名選手必ずしも名師範たりえない、いや名選手は自分の稽古やトレーニングに最優先で取り込むために、人の指導には向いていない。
また、人が何年もかかってわかることが、すぐにわかってしまって稽古やトレーニングに取り込むゆえに、生まれつき資質のない人の気持ちがわからないゆえに、人の指導に向いていない。
ゆえに、名選手を育むことができない、ということはこれまでの歴史を見ればわかろうというものです。
「八巻空手」から名選手が出たという話を聞いたことがないのです。
それは置いておいて(笑)、その自身の道場を閉めて、松井派に再加入したということですが、他の極真の派にはいけなかったということでしょうか?
第6回世界大会の前年に、八巻氏は全日本大会で優勝し、世界大会の切符を手に入れていたのです。
しかし、その半年後に極真会館が分裂してしまい、松井章圭氏を館長にする松井派と、大山智弥子氏を館長にする大山派とが別々に世界大会を開くことになり、当時、大山派を支持していた廣重毅師範の弟子であった八巻氏も当然、この派でおこなわれる世界大会での出場を決めていたが、極真史上最強の外国人選手とうたわれたフランシスコ.フィリォが松井派での出場を決めたゆえに八巻氏は、フランシスコ.フィリォと戦いたいということで、後輩の数見肇氏とともに松井派での出場を決めたのです。
フランシスコ.フィリォ
その後、廣重師範は、どの派にも属しない中立の立場を表明しましたが、この時の世界大会で八巻氏が優勝し、数見肇氏が準優勝したことで、決然と松井派に属することを決めたようです。
そして、それから数年間は、自分の育った城南支部で分支部長として生計を立てるも、その後渡米して自分の空手道場を開くことになったのです。
そして、今度の復帰です。
世界大会の当初は、大山派の支部長たちから結構叩かれていたのを大山派の新聞で読んだことがあります。
「最初はこちらで出場するといっていたのに裏切り者!」といったニュアンスで(笑)。
そういった背景ゆえに、八巻氏は松井派しか行く道がなかったのだろうというのがよくわかります。
しかし、私は松井派にはほとほとあきれ果てた組織であると心底思っているので、松井派にはいかないで他の新極真会といった極真の派に行ってほしかったというのが正直なところです。
新極真会は、八巻氏の直々の先輩である緑健児氏が代表になっているのですから。
緑健児
それに、分裂直後に松井新体制で構築が始まった組織編制において、全国で12人の本部長が置かれたにもかかわらず、そのうち3人しか残っていない腐った組織などにいってもしょうがないと思うのですがどうでしょうか?
それに、松井派では道場生が不必要なものを買わされたり、一撃必殺を標榜するフルコンタクト空手を冒涜するようなルールが新たに加わってしまっていのが現状です。
効いてもいないのに、上段蹴りが相手の顔に掠って、そこで残心のポーズを取ればそれで技あり、などというのはもはや空手ではないと思うのは私だけではないでしょう。
松井派に嫌気がさして、そこを脱退して他の派に行ったのは何も国内の支部長だけでなく、海外支部でもたくさんあるのです。
その代表的な例が、ロシアのアレクサンダー.ピッチクノフでありタリエル.ニコラシビルです。
前者は、第7回世界大会で3位に入賞したことでロシアに旋風を巻き起こし、ロシア選手の急激なレベルアップを図ることに成功したのです。
後者は、第10回世界大会で史上最年少で優勝したのです。
その2人ですら、松井派にいなくなって他の派に行ってしまったのです。
こういった例は他の派にもありますが、松井派はその国の重鎮レベルを失ったのですから、かなり異常な事態といわなくてはならないでしょう。
そんな組織に八巻氏が戻ったのは憂うべき事態としてとらえたいですね私は。
個人的な行動の決定については、その人のさまざまな事情があり、多数の選択肢から考えて執ったのですから部外者がとやかく言うべきではないでしょう。
しかし私は…(笑)
これからの八巻氏の行き先がどうなるかはわからないですが、その決定がよくなることを願ってここに筆をおきたいと思います。
今回は、氏の以下の本を紹介したいです。
空手を始めるところから、世界大会で優勝するまでの工程を書いた自叙伝です。
●以下よりどうぞ!
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光輝の拳 八巻建志自伝 /ベ-スボ-ル・マガジン社/八巻建志 | ||||
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