荒田選手に期待するその内容とは?
前回の補足をしましょう。
2015年の松井派の世界大会で、日本人選手がロシア人に負け続けてしまったのは、「突きの威力の不足である」ということを話しました。
いろんなことがあわり合わさって「負け」という形になったのですから、何も突きの威力の不足だけであるとは私も言いません。
でも、これまでの見聞や、どういう人間が勝ちどういう人間が負けるかという研究の結果、一番の原因は突きの威力の不足である、ということを申し添えておきたいと思います。
足は手の何倍もの力がありますが、手のように器用に動いたり、手数を出すことはできませんから、やはり手わざの威力をつけて、間合いができるようになって、はじめて足技が活きるのです。
空足ならぬ「空手」と言われる所以です。
日本のエースとして参戦した荒田昇毅選手は準々決勝で、ロシアのキリルコチュネフに再々延長の末、決定打がなく体重判定で負けてしまいました。
荒田昇毅
この選手は前年の全日本大会でも、突きを活かしていないまま敗退してしまいました。
100キロを超える体重がありながら、押し合い圧し合いの組み手で、ドスンと1発で効かせることなく、ダメージの多寡で危うげな判定勝ち、というのが目立ちました。
相手と接近した状態で10発前後のパンチ連打をかますけれども、相手は引かない。
これだけの体重がありながら、引かさすことができないとは…と思わざるを得なかったです。
相手のレベルが上がり、打たれ強くなっているんだ、という反論がなされそうですが、これまでの日本のエースならば、こういう場面では2発か3発くらいで効かせることができないと…という思いに駆られざるを得ないです。
ましてや10発もの連打をしているのなら尚更です。
今回日本チームの監督を務めた木山仁師範が、第8回世界大会で優勝した時は、準決勝であのエウェルトンテイシェイラと対戦した時に、左の胸元への突き1発で後退さす場面がありましたし、決勝ではメガトン級の突き技のあるセルゲイプレカノフと対戦しましたが、終始木山師範の間合いで試合を進めることができました。
木山仁
木山師範の突きの威力があって間合いに入ってこれなかったからですね。
エース格ならこういった1発か2~3発で効かせる技がないといけませんね。
やはり自分の間合いに簡単に相手が入ってきて技を出してしまうのは、技全体の威力が劣っているからですね。
技の応酬をちょっとでもすれば、相手は本能的にそれを察知して、間合いを近くにするか遠くするかをおのずと決するのですね。
ちょっとの応酬で、自分より弱いなと思えたら、相手はどんどん相手は来てしまいます。
そして、どんどんと技を繰り出してきます。
そうならないようには、1発1発の威力を向上させなくてはいけません。
キリルコチュネフ選手は、相手が自分より断然重い荒田選手の場合でも、どんどん間合いを詰めて技を繰り出してきました。
技の威力に自信をつけるほどの訓練を積んできたのでしょう。
荒田選手は、あの体格を活かすような組手セオリーができていないというように思いました。
出過ぎたことを書きましたが、それは荒田選手への期待の表れというふうにとってもらえればなと思います。
荒田選手の偉業は、前にも書きました。
全日本大会の優勝者を2人倒してウェイト制大会で優勝し、同年のオールアメリカンでも現役世界王者に勝ってしまうのですから。
また全日本大会の上位入賞者にまで勝ってベスト8入りするのですから、これは讃えても讃えても足りないほどの偉業でしょう。
しかし、これほどの偉業を達成しておきながら、その後荒田選手はちょっと伸び悩んでいる、周囲の期待に応えてないと言わざるを得ません。
次の世界大会では荒田選手は32歳。
これから先どのような道を行くのかわかりませんが、エースとしての風格を備えた組手を目指してほしいと思いました。
書きたいことは以上です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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