さて、物事を成就するためには、自分から積極的に学んでいくことが必要であることを前回、城南支部を例に出して講義いたしました。
今回はその続きをしていきたいと思います。
能力開発において、その成就にかかる時間は十人十色です。
みんなで一斉にする合同稽古で自分に出来ないことがわかったら、自主トレの時間を使って、その解決に向かってトレーニングをしていかなくてはいけない。
合同稽古の基本、移動、型の稽古においては、アレンジを加えることなく、みんなが同じ事をしなくてはいけませんが、それが終わったら、自分独自のものの見方でしなくてはいけません。
欠点や長所も十人十色ですから、自分の欠点を補い特長を活かすトレーニングでは、他人とは違う事をして当然です。
合同稽古が終ったら、大抵の人間は帰宅してしまいますが、自分は出来ていないところがあるから、そういった人たちとは一線を画して鍛練に励んでいかなくてはいけません。
まさに、
「人は人、自分は自分」
こういう思考が出来るかどうかが、修錬に必要なキーワードになるのです。
前回のブログでは、型の稽古では、全く教えないでいきなり「太極○をやれ」「平安○○」と指導員の人が言ったら、その通りをしなくてはいけない、と書きましたが、そこで自分はわからない、ということがわかって、自主トレ時間になって、やりかたを指導員に訊きにいく人もいれば、わからないまま帰宅してしまう人もいました。
後者の方が圧倒的に多かったです。
約5分という短いスパーリングの稽古の時に上手くいかなかった人は、自主トレ時間に先輩や指導員の人に訊いてトレーニングをこなしていました。
何故、訊くのか?
組み手で上手くいって強くなりたいからですね。
●しかし、一方で、何故、訊きにいかないで、そのままほっぽらかしにしておく人がいるのか?
それほど、強くなる気がないから…そういう部分も確かにあるでしょう。
でも、私はただそれだけではないと思います。
私が10代20代で空手に勤しんだ時代はまさに、 「マニュアル化社会」でした。
マニュアル化社会とは、ものの習得さえもすべてマニュアル化がなされている社会のことです。
事は、ギター、ピアノ、語学、大学受験…その他あらゆるものがマニュアル化され、それぞれ学校に金を払って習いにいけば、 「何をすればいいか、どれだけすればいいか」を講師が分析して提示してくれるのです。
入門者は、講師の言われた通りの事をしていけばいい。
入門して、初心者は先輩のやることを見よう見まねで真似して習得していく…というのは、遠い昔の物語、そんな時代に育ちました。
幼少のころからマニュアル化社会にどっぷり浸かって育った人間が、いきなり城南支部のように、ほとんど何も教えずに、自分で考え、人に訊き、研究に研究を重ねて強くなれ、と言われたのでは、かなり難しいのではないか、と思ったものです。[E:bearing]
ですから、わからないのに、自主トレ時間に何もせずに、帰ってしまう人は、こういったマニュアル化社会に育ったために、
「いつか指導員が教えてくれるんだ。」
と思っている人もかなりいるでしょうし、また、
「指導員が教えてくれないということは、1回でわからない人は空手の資質がないんだ。[E:think]」
などと勝手な思い込みをして稽古から遠ざかってしまう危険性もあるでしょう。
●城南支部の廣重毅支部長は、まさに、「人に訊いて、自主トレを自らこなして強くなる」というのがあたり前の時代に育った。
廣重毅師範
しかし、今は、ほとんどの事を教えてくれるのがあたりまえの社会に変貌してしまっている。
その社会の変化を考慮に入れずに、前の時代のままの稽古方法ではよくないのではないか?[E:gawk]
そう、思わざるを得なかったです。
確かに、何から何まで教えてくれる、というのは受け手の精神によくないのは私も認めます。
しかし、「自ら学んでいくことが重要」であるならば、そのことを稽古時間に言うくらいのことは必要であると思う。
そう同感してくれる人はいるでしょうか?
そう同感してくれる人がいたならば、城南支部であろうとなかろうと、自分の支部において、そのことを後輩等に情報の提示をしてほしいものです。
後輩がきちんと育つかどうかが、未来の日本の空手界にとって大事だと思うからです。
今回はこれくらいにしておきましょう。
ここまでのご精読ありがとうございました。
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