前回の、安島喬平選手と、数見肇選手についてリポートしたので、それまでの話からちょっと脱線してしまいましたが、本筋にもどしていこうと思います。
極真会館の城西支部が80年代の初頭から全日本大会で急激に頭角を表し城南支部はそれほどの活躍を見せることができなかったが、独自の稽古法で90年から急激に頭角を表し、それ以降、全日本と世界大会あわせて12回も連続して城南支部から選手を決勝に送り込む快挙を成し遂げた、ということを話しました。
城西支部は、試合向けの「試合クラス」の創設により、全国から注目されることになったのです。
しかし、城南支部は、基本と移動と型の稽古を徹底し、試合向けのクラスは一切創設せず、そこで強くなれた人間だけに許可を与えて試合向けの稽古である「朝練」に参加させて強くなれた、ということを話しました。
ここに方法論の違いがあるのです。
●城西支部の「試合クラス」には黒帯や茶帯でなくとも、白帯からでも出席できます。
しかし、城南支部は、そういった試合向けの稽古はさせずに、「教えない主義」で自力で這い上がって強くなれた人間にだけエリート教育を施す、という違いがあるのです。
これは、非常に示唆に富む教育法だと思います。
どうしても強くなりたい人は、どうすればいいか、どんなトレーニング法があるのか、自分で調べるか、先輩や師範に訊きに行くでしょう。
調べたり訊きに行こうとしない人間は絶対に強くなれない…こういうモラルを城南支部の支部長である廣重師範はもっていたのでしょう。
その通りですね。
何から何まで教えてくれるのを待っている人はどんなことをしても,事を成就することはできません!
しかし、そういう柔軟な精神をもっている道場生は極わずかだと思います。
ものの習得においては、何から何まで教えてくれる昨今のマニュアル化社会ではなおさらでしょう。
城南支部のいわば「エリート主義」では、ザルをものすごい勢いで振って残っていた人間だけが強くなれるが、本当に強くなれるのは非常に少数、という負の面が厳然と存在するのです。
しかし、強くなりたい人間ならだれでも白帯から出席できる城西支部の「試合クラス」では、全体的な底上げはなされるが、その「試合クラス」にばかり出席して、基本や移動や型の稽古を蔑ろにしてしまう人間が大勢でてしまい、盤石な強さを誇る人間が出にくくなってしまう、という負の面が厳然と存在するのは事実です。
●では、どちらが本当に良い稽古法なのか…誰にもわからない、というのが事実ではないでしょうか?
私は、城西支部に影響を受けた支部で稽古してきましたので、その恩恵は体感してわかります。
普段の合同稽古の中に、パンチングミットやキックミットを使った稽古をすることによってテクニックを身に着けることができたのは事実ですし、また合同稽古の中で、サポーターをつけて受けや躱しなどの防御法を身に着けることもできました。
基本、移動、型の稽古しかしない城南支部の合同稽古では、こういった試合向けのテクやフィーリングを身に着けれたかどうかは保証のしようもありません。
しかし、そういった城南支部の「あれこれ教えない主義」にどっぷり浸かっていたら、もしかしたら、「どうしても試合で勝つ方法が知りたい!」という気がものすごく起きて、自分で調べ、自分で訊きに行って、自主トレをしまくりになり、本当に盤石の強さを身に着けることができたかもしれない。
それは、実際にその場におかれないとわからないものです。
はじめから城南支部に入門したら、あまりに強くなれないから、「自分は空手の資質がないんだ!」と卑下して早々に辞めたかもしれないし、逆に、調べまくり訊きまくりになってものすごい精進したかもしれません。
それは実際にそこに置かれてみないとわからないです。
しかし最初に城西支部に影響を受けた支部に入門した私としては、ちょっと城西支部寄りに意見が傾きます。
これ以降の内容は、次のブログに譲ります。
今回はこれにて終了いたします。
では失礼いたします。
●当ブログおすすめの空手情報商材は以下です。
城南支部出身の数見肇館長のおすすめコメントも収録です。
↓
http://karate-rush.info/index.html